「魚は獲れたてが本当に美味いのか?」 魚介類の鮮度と美味しさの関係について(2)
昨日は「鮮度」について考えてみましたが、今日は
そもそも「美味しい」ってどういうこと?
について考えてみたいと思います。
一般的には「美味しい」と感じる要素としては「見た目」「香り」「食感」そして「味」などがその要素として挙げられ、それらを総合的に判断して「美味しい」と感じるようです。「見た目」と「香り」はどちらかと言えばお店で調理して頂いた時のお話になるのかな、と思いますので、今回は魚屋らしく(笑)、「食感」と(魚の)「味」について書いてみます。
【食感】
特に魚で言えば「食感」は「鮮度」と密接に関係しているようで水揚げ後、
死後硬直 → 解硬 → 軟化 → 腐敗
と徐々に身質が柔らかくなるというお話は前回もありました。
もう一つ加えるとすれば、一般的な傾向として
脂質の高い魚 → 身質が柔らかい
脂質の低い魚 → 水分の多いものほど柔らかい身質
という傾向もありますし、
加熱をすると、
赤身の魚(ブリ/マグロなど) → 身が締まって硬くなる。
白身の魚 → 柔らかく身が崩れやすいものも多い。
という傾向も見られます。
魚を刺身で食べるにせよ、加熱や加工品で食べるにせよ、その魚の身質を理解した上でそれに応じた調理方法を用いることが大切になりますね。
【味】
やはり「美味しい」に一番影響があるのがこの「味」だと思うのですが、こちらも様々な成分があるみたいです。大雑把に記述すると、
グルタミン酸、ヌクレオチド(イノシン酸) → 旨味成分
グリシン、アラニン → 魚介類独特の甘み
ヒスチジン → かつおぶしダシの旨味と酸味
メチオニン → ウニ独特の味
といった感じのようです。
中でも旨味成分の主体となるグルタミン酸は魚の死後しばらくしてから開始する死後硬直に入った頃から増加し始め、硬直が解け始める頃に最大量となるそうです。
ということは、
旨味という点で言えば、死後すぐのクネクネ状態の魚よりも、一度硬直してその硬直が解け始める頃が一番ウマイ!ということになります。
昨日ご紹介した日経新聞の記事でも
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ26019_W3A320C1000000/?df=2
「氷見の10㎏以上のブリなら3日、100㎏以上のマグロは3~4日経ってから握るのがベスト」と言うお寿司屋さんのコメントが載っていますが、これも魚体の大きさや身質などから経験的に割り出した「旨味成分が最大量になるタイミング」なんでしょうね。
ただ、特に赤身や青魚の場合、日にちが経つとそれだけ色変わりしてきますから、一般のお客様からすると「鮮度が悪い」という悪印象を与えかねません。この辺をどうやってお客様に判って頂けるようにするか、というところが現段階ではネックになるのだと思います。難しいですね~。
さてこうして考えてみると、
食感 → 鮮度がいいこと(水揚げ後すぐ食べる)
旨味 → 少しの間寝かせて熟成させる
という構図が浮かび上がってきて、両者は反比例の関係にあることが判りました。
じゃあ、結局どうしたらいいの?
ということですが、
コリコリした食感が魅力のヒラメやサヨリはなるべく早めに
寝かすと美味しくなるブリやマグロは少し熟成して
「魚の種類に応じて使い分ける」ということに尽きるのかな、と思います。ただ、熟成する魚も下処理はすぐにした方が良いですし、数日寝かせると言っても市場や漁港で留め置きされた魚を仕入れられるのはお勧めできません(どんな保管をされているかもわからないので)。どちらのタイプのお魚にせよ、仕入れの段階では「鮮度の良いもの」を仕入れるのが大切だと思います。
ちなみにこの「魚を寝かせる(熟成させる)」という手法を発展させたのが、北陸の郷土料理でもある「昆布〆」です。魚の旨味成分に昆布の旨味成分も加わって更に美味しくなります。手間をかけずにこの昆布〆をお出しになられたい時には是非、金沢直送居酒屋応援隊®の昆布〆商品を!
最後にちょっとだけ宣伝でした(笑)。
居酒屋応援隊の運営責任者として居酒屋さんの御商売繁盛をお手伝いしてはや10年。4000店舗を超える取引実績から得た「売れるメニュー作り」のノウハウを武器に、居酒屋さんの売上アップ、コスト削減のお手伝いをしています。また単なるノウハウの提供にとどまらず、独自の仕入れルートと商品開発力で居酒屋さんの売上アップに必要な食材を取り揃え、すぐに成果が出せる仕組みを持っているのが強みです。調理師免許あり。
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