鮮魚仕入についての一考察。本当に産地直送が安いのか、について考えてみました。(3)

魚仕入れについてご興味のある方はコチラ!


皆様おはようございます。
金沢直送!居酒屋応援隊®の柴田です。

「鮮魚仕入は産地直送が本当に安いのか」というテーマも本日で3回目になります。今日は最後まで書きますのでお付き合いくださいね。

産地直送の鮮魚が必ずしも安いとは限らない!

産地直送で仕入れた魚が市場流通を経て地元の魚屋さんから仕入れた時より高くなる場合があるのは、何故か?という検証で、

産地直送の鮮魚が必ずしも安いとは限らない理由(その1)

ひとつ目の理由は
出荷のボリュームが少ないのに手間がかかるから
ではないか、ということでした。

詳しくは前回の記事「鮮魚仕入についての一考察。本当に産地直送が安いのか、について考えてみました。(2)」に書いてありますのでご参照頂ければと思うのですが、簡単にまとめるとこういうことです。

産直鮮魚の方が市場流通より高くなる場合の理由の1つ目は
ボリュームが(市場流通に比べて)少ないから
だと思います。要は経費と手間の問題です。

例えば市場流通に出荷する場合だと、タンクもしくは氷を打った鮮魚箱に魚を入れて

数十キロ、数百キロ、
漁模様によってはトン単位

でそのまま出荷できます。

伝票も1枚書いておしまい!

みたいな感じで、どちらかといえば漁師さんの好みの仕事スタイルに近いかな?と思います。

これが産地直送の鮮魚出荷になると、
1. 水揚げした魚の中からいいものを選別して
2. 種類の違う魚を受注金額に合わせて組み合わせて
3. 発送用の箱に魚が傷まないように丁寧に詰め込んで
4. 送り状も1箱ごとに書き込んで
5. 宅配便業者さんを呼んで出荷(代金受け取りも後日)

となるので、魚は1種類でも可、内容おまかせ、というものでも少なくとも荷造り包装作業は必要なわけで、これって意外と手間がかかるんです。そうなると、少なくとも手間代はしっかりもらいたい、ということになるのが人情だと思います。

更にもう一歩踏み込んで言えば、なぜ物流の川上(この場合は漁師さんや漁港)が「中抜き」をして売る努力をするかと考えれば、当然「1円でも高く買って欲しいから」ということだというのは御理解頂けると思います。だから当然、(昨日の輪島の魚を築地の仲買さんから仕入れるという例で言えば)「築地の仲買さんが店舗に納品するであろう価格」は価格設定の基準のひとつにはなるでしょう。

つまり、我々買い手側(対市場や対漁港という視点では居酒屋応援隊®も買い手側です)の視点と売り手側の視点が違う訳で、

【買い手側の視点】
漁獲/製造/仕入れ原価 + 売り手の利益 = 売価

と考えているのに対し、

【売り手側の視点】
買い手の値ごろ感 = 売価
※もちろん原価は意識するが、値ごろ感を重視する

という観点でも見ている、ということです。

産地直送の鮮魚が必ずしも安いとは限らない理由(その2)

本日は考えられる理由の2つ目です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

産直鮮魚の方が市場流通より高くなる場合の理由の2つ目は
産直だとたくさんの業者さんを経由して商品が来ないから
だと思います。

えっ!?何言ってんの?
と思われた方もいらっしゃると思うので詳しく説明させてください。

ちょっと逆説的ですが
間にたくさんの業者が通るほど安く買える可能性がある
ということも現実には起こり得るんです。これが!

前々回に例として挙げた
能登半島・輪島産の魚を東京のお店が仕入れる時
という事例でのサプライチェーン(商品の流れ)はこんな感じでしたね。

漁業者(輪島の漁師さん)

浜仲買(輪島漁港の仲買さん)

金沢市中央卸売場の大卸会社

築地市場の大卸会社

築地市場の仲買さん

飲食店様(もしくはスーパーなど)

通常のサプライチェーン(商品の流れ)であればこの川上から川下に行くに従って各業者さんの利益が上乗せされるので高くなっていきます。例えば漁師さんが箱1000円で販売した鮮魚の場合、例えば各業者さんが10%ずつ利益を取ると

漁業者(輪島の漁師さん)     1000円

浜仲買(輪島漁港の仲買さん)  1100円

金沢市中央卸売場の大卸会社  1210円

築地市場の大卸会社       1331円

築地市場の仲買さん        1464円

飲食店様(もしくはスーパーなど)

となり、漁師さんが1000円で売ったものが築地の仲買さんが
都内のお店に納品する時には1464円になっているということになります。

P8150033 ←金沢市中央卸売市場のセリ風景

ところが、生鮮品の流通の場合、実際には

漁業者(輪島の漁師さん)     1000円

浜仲買(輪島漁港の仲買さん)  1100円

金沢市中央卸売場の大卸会社 900円

築地市場の大卸会社       800円

築地市場の仲買さん       880円

飲食店様(もしくはスーパーなど)

というように出荷元の販売価格よりも安くなるケースが起こり得ます。

理由は
鮮魚は在庫ができない生鮮品だから
ということです。

ここまで書くともうお判りの方が多いかもしれませんが、
仕入れた魚は相場が安くとも売り切ってしまわないと陳腐化してしまうので
原価割れ価格で取引される可能性がある
わけなんです。

例えば、
ある仲買さんが1箱1000円で100箱仕入れたが、

50箱が2000円の単価で売れたので(50000円の利益)、

売れ残った50箱を1箱500円で販売してでも現金化し(25000円の損失)、

利益を確定させる(50000円-25000円=確定利益25000円)

というようなことは日常的にあり得ます。

またこれは昨年の11月の初入荷時に実際に金沢であった「香箱がに」の事例ですが、

金沢漁港(浜仲買)では箱10000円の値がついたのに
金沢市中央卸売市場では箱8000円しかつかなかった
ということがありました。
※価格はうろ覚えなので正しくないかもしれません。

 ←金沢漁港のズワイガニ解禁日の様子

一般的に
漁港    → この時期とこの品質ならこれくらいの値打ちがあるという商品の価値観重視
中央市場 → これくらいの価格なら売れるという消費者目線が重要視される
の傾向はあると思うので、浜値(漁港でつく値段)の方が卸売市場より高かったりすることもしばしばです。

もちろん、その逆も日常的にあり得るわけで、日々その繰り返しの中で勝ち負けを繰り返しながら各ポジションの業者さんが成り立っています。

つまり、
産地直送 → 「中抜き」しているので本来安いはず。但し、出荷元は確実に自分の適正利益は上乗せするので、原価以下にはならない

市場流通 → 多くのプレイヤーが関与するので、条件によっては原価割れで販売する業者も発生し、その結果、消費者まで安く納品される「可能性がある」。

ということだと思います。

【産地直送のメリット】

以上からご理解頂けるように、流通形態を考えると必ずしも産地直送だからと言って安いとは限らないということになります。

じゃあ、産地直送のメリットは何か、と言えば
・魚の鮮度や品質の確かさ
そして
・漁港から直送で届いたというブランド
ではないでしょうか。

その2つのメリットに加えて
「安い場合も多いのでラッキー♡」
というくらいの感じで考えて取り組みをして頂けるといいのではないかと思います。

他にも素晴らしい鮮魚発送業者さんは全国にたくさんいると思いますが、金沢直送!居酒屋応援隊®が取り扱っている鮮魚セットもこの2点には特に

自信あり!

です。

今、産地直送鮮魚の仕入れで成功されているお店の中には何度も失敗を経験したり、わざわざ現地まで何度も足を運んだりしてようやく出荷元との良好な関係を構築できた、というところも多いと思います。そこの大変な部分は居酒屋応援隊®を使って頂ければかなり省略できると思いますので、ご興味のあるお店の方はチャンスがあれば是非一度お試しくださいね!


sengyo

注文する前にもっと詳しく話を聞きたい、という方はこちらをクリック↓


callback