【飲食店向け法律講座】メニュー表示の「優良誤認」とは?「〇〇鯛」を「タイ」と呼んでいいのか徹底解説

「メニュー名はどこまで自由に決めていいの?」
「地方名や通称を使っても法律違反にならない?」

飲食店経営において、メニューブックはお客様との最初の接点であり、売上を左右する重要なツールです。
しかし、魅力的な名前にしようとするあまり、法律のラインを超えてしまうと、「景品表示法違反」として行政処分や店名公表の対象となり、お店の信用を一瞬で失うリスクがあります。

今回は、飲食店が絶対に守るべき「景品表示法」の基礎知識と、特に間違いやすい「タイ(鯛)の表記ルール」について、最新のガイドラインに基づいて解説します。

目次

1. 飲食店に適用される法律は「景品表示法」

まず、食品表示に関する法律として有名な「食品表示法(旧JAS法など)」ですが、これは主にスーパーなどの小売店(容器包装された加工食品)を対象としています。
注文の際にお客様が店員に詳細を確認できる「飲食店での外食」には、原則として食品表示法の産地・原材料表示義務は適用されません。

しかし、だからといって「嘘を書いてもいい」わけではありません。
飲食店には「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」という法律が適用され、以下の行為が厳しく禁止されています。

優良誤認表示(ゆうりょうごにんひょうじ)の禁止

商品やサービスの内容が、事実よりも「著しく優良である」と消費者に誤解させる表示をしてはいけません。

例)養殖なのに「天然」と書く、外国産なのに「国産」と書く、普通の牛肉なのに「松阪牛」と書く など

かつて2013年頃、ホテルや百貨店で「バナメイエビ」を「芝エビ」と表示したり、注入肉を「ステーキ」と表示していた問題が一斉に発覚しました。
これ以降、消費者庁の監視の目は厳しくなっており、「知らなかった」では済まされない状況になっています。

2. 「〇〇鯛」を「タイ」と書いてはいけない理由

ここで、よくある疑問「名前に『タイ』とつく魚なら、メニューに『タイ』と書いてもいいのか?」について、具体的に解説します。

消費者にとっての「タイ」=「マダイ」

真鯛

消費者庁のガイドラインや過去の判例では、
「メニューに単に『タイ』または『鯛』と表示した場合、一般消費者は『マダイ(真鯛)』であると認識する」
という解釈が一般的です。

つまり、マダイ以外の魚(あやかり鯛)を使っているのに、単に「タイの刺身」「タイのソテー」と表記することは、実際よりも高級な魚を使っていると誤認させる「優良誤認」にあたる可能性が極めて高いのです。

具体的なNG事例:イトヨリダイとメダイ

魚の名前には「タイ」と付くものの、分類学上はタイ科(マダイの仲間)ではない魚がたくさんいます。これらをどう表記すべきか見てみましょう。

① イトヨリダイの場合(スズキ目イトヨリダイ科)

イトヨリダイ

名前に「タイ」が入っていますが、マダイとは別の魚です。
【NG表記】 「タイのポワレ」
【OK表記】 「イトヨリダイのポワレ」「白身魚のポワレ」

※「イトヨリダイ」と正式名称を書く分には全く問題ありませんが、”イトヨリ”を省略して「タイ」とだけ書くと、消費者は「マダイだ」と勘違いしてしまいます。

② メダイの場合(スズキ目イボダイ科)

目鯛

こちらも名前に「ダイ」が付きますが、見た目も味もマダイとは全く異なります。
【NG表記】 「タイの西京焼き」
【OK表記】 「メダイの西京焼き」「本日の焼き魚」

※メダイをタイと表記することは、生物学的にも市場価値的にも乖離が大きいため、悪質な優良誤認とみなされるリスクが高いです。

3. 飲食店が守るべきメニュー表示の鉄則

では、法律を守りつつ、お客様に美味しさを伝えるにはどうすればよいのでしょうか。
トラブルを避けるための3つのポイントをまとめました。

① 「標準和名」の使用が基本

最も確実なのは、魚図鑑に載っている「標準和名」を書くことです。
例)キンメダイ、アマダイ、マトウダイ など
これらは名前に「タイ」が付きますが、そのままフルネームで書く分には、その魚種を正しく伝えているため問題ありません。

② 省略・短縮はリスク大

「キンメダイ」を「タイ」と略したり、「ブラックタイガー」を「車エビ」と言い換えたりするのはNGです。
「より高級な別の魚」を連想させるような省略は避けましょう。

③ 地方名は「併記」が親切

前回の「ツジノミ」のように、地方名を使いたい場合は、カッコ書きで補足するのがベストです。
例:「北陸の地魚 ツジノミ(キツネメバル)」
これなら、旅の情緒を感じさせつつ、誤解も招きません。

まとめ:お客様の信頼を損なわないために

景品表示法の根底にあるのは「お客様を騙さない(不利益を与えない)」という考え方です。

「安価な魚を、名前をごまかして高く売ろう」という意図がなければ、過度に恐れる必要はありません。
しかし、「タイ」のような一般的なブランド力のある言葉を使う時は、それが本当にマダイを指しているのか、一度立ち止まって確認する癖をつけることをお勧めします。

正しい知識でメニューを作り、お客様に安心して美味しい魚を味わっていただきましょう。

この記事を書いた人

居酒屋応援隊 店長・柴田征洋

柴田 征洋
(しばた ゆきひろ)

居酒屋応援隊 店長/真洋創商株式会社 代表

京都の大学卒業後、大阪の商社を経て水産専門商社へ。20代から水産業界一筋で輸入・卸売・水産加工・小売と業界のあらゆるポジションを経験しています。2009年に「居酒屋応援隊」を立ち上げ、2012年に真洋創商株式会社を設立。現在は北陸の珍味・干物・魚介類を中心に、全国4,000店舗以上の飲食店様の仕入れをサポートしています。

原料の調達に関しては商社時代の人脈を活かして全国各地の漁協や卸売市場から、貿易商社まで幅広くお付き合いをし、独自の仕入れルートを構築することに成功。海産物の加工については水産加工業に従事していた時の経験とノウハウで、それぞれの加工に適した専門店に製造を依頼しています。商品開発のコンセプトは「どこにでも売っている食材」ではなく「ここでしか売っていない面白い食材」や「置くだけ(メニューに載せるだけ)で売れる食材」を取りそろえる事です。

🎓 資格:調理師免許(石川県)/貿易実務検定B級/TOEIC845点
趣味:野球(県内審判員として活動)/読書/お酒

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