ホタルイカとイワシのドタバタ共演:豊漁でもハッピーじゃない?

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ほたるいか漁

春先になると、北陸の海も春の魚介類でにぎわい始めます。ホタルイカ漁のシーズンがまさにそれ。毎年3月1日から富山湾でのホタルイカ漁が始まります。2024年のホタルイカ漁は出だしから好調なようで今年はホタルイカの豊作が期待されています。でも、ここでちょっとしたモヤモヤが。漁師さんたちの間では、イワシが大量に一緒に上がってくることがちょっとした頭痛の種になっているんです。

イワシ
イワシも大漁だと嬉しいですよね。

ホタルイカ vs イワシ:海の中の小競り合い


皆さんがよくご存じなように豊漁は普通なら「めでたい!」という話です。でも、このイワシ問題が絡むと、ちょっと話が複雑。ホタルイカがどんなにたくさん取れても、イワシが原因で市場での評価が下がることも。結果、美味しいホタルイカを提供したい私たちや、それを楽しみにしているお客様にも、ちょっぴり残念なニュースです。

何が問題なのか?

通常、卸売市場に魚が入荷する時には写真のような発泡スチロールに魚種ごとにきちんと選別されて入ってきます。
あまえび鮮魚

ただ当たり前ですが水揚げをした網の中は様々な魚介類が混在しており、それを漁業関係者の人たちが選別をするという作業をしています。

漁港の選別作業
漁港の選別作業

ホタルイカなどは北陸では専用の定置網で漁獲するため基本的にはホタルイカだけが入ってくる仕組みになっていますが、イワシは群れで生活をするため、イワシの豊漁がホタルイカの水揚げと重なってしまうとホタルイカの網にイワシが混在するという状況が発生します。

ホタルイカのネットにイワシがごっそり入ってくると、どうなるかというと、イワシの鱗がホタルイカにべったり。このホタルイカ、実は結構ナイーブ。その繊細な体にイワシの鱗がくっつくと、見た目も品質も大損害。せっかくの豊漁が台無しになるんです。イワシが混じってしまったなら取り外せばいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、ご存知のようにホタルイカは親指程度の大きさのイカ。そのイカに付着した鱗をを1つ1つ取り除いていくのは現実的には時間がかかりすぎて不可能です。

加工用の原料としても使えない

卸売市場に鮮魚として出荷できないのであれば加工用にすれば良いのではないかとも思いますが、これも実際の加工現場を見ていただくとなかなか難しいということがわかると思います。

通常水揚げされたホタルイカは下の1枚目の様なざるで運ばれてくるのですが、ピークシーズンになる下の画像2枚目のような大きなタンクで加工場に搬入されてきます。

ほたるいかのザル
ほたるいかのザル

ホタルイカタンク
タンクで入荷

これを加工場の職人さんたちが凍結用に詰め替えたり小分けにしたりしてくれています。
ホタルイカ作業

数量が多いので鮮度面にも気を配りながら凍結用に小分けしたり干物やボイルなどに加工するのはこの作業だけでも大変な労力なのですが、もしこのザルやタンクの中にホタルイカだけでなくイワシやその鱗が混ざっていたらどうでしょうか?

さらに厄介なのが鱗で、表面に張り付いたものは水で洗い流すということもできないことはないのですがホタルイカの体内にも紛れ込んでしまうため、それは洗い流すことができず結果として食材としてはなかなか使える状態にはなりません。

価格にも影響大

がっかり
このように普通、漁が豊富だと価格が下がるものだと思いますが、イワシ混入が起こるとこの常識が通用しなくなってしまいます。品質が下がったホタルイカは、たとえ豊漁であっても高価格で売れなくなり、結局は漁師さんの収入にも響いてきます。

そこでホタルイカのシーズンであってもホタルイカの定置網の設置や水揚げをイワシの魚影がなくなるまで見合わせるということもよくあるそうです。実際当店には富山の漁協さんから各漁港の水揚げ集計がFAX で届くのですがそれを見ていると豊漁で価格が下がっても良いのに全く値段が下がらないということもしばしばあります。そういう場合は前述のような「いわし採れすぎ問題」が原因でいわゆる使えるホタルイカの量が少なくて高値推移してしまうということがよくあります。大量はありがたいのですがそのタイミングのミスマッチがあるとなかなかハッピーな結果にならないというところが自然を相手にする漁業の難しいところですね。

まとめ

というわけで、ホタルイカが豊漁だとしても、すべてがうまくいくわけではない、ってことをお伝え致しました。イワシの混入という予期せぬ問題が実は大きな影響を及ぼしていることも是非知っておいてください。ホタルイカの豊漁期でも、質のいいものをしっかり見極めて、お客様に提供できるよう、私たちもしっかりサポートしていきますよ!

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