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冬場は海水温も下がっていろいろな海産物が美味しくなる季節ですが、やっぱり冬の魚と言えば「ぶり」。特に北陸の寒ブリは日本海の荒波にもまれて身がしまっている上によく肥えているので脂も乗っていて本当に美味しいですよね~。
そして昔から美味しいと評価の高い北陸の天然寒ぶりの中でも全国的に有名なのは言わずと知れた富山県の氷見(ひみ)の寒ぶり。氷見産と札が付くだけで値段も跳ね上がる高級ブランドですが、その価格も納得の脂ノリ・身質で高級な料理屋さんや旅館などで好んで使われています。
その氷見ぶりで有名な富山県氷見市って実は金沢市、富山市という県庁所在地からはそこそこ離れていてしかも車での移動を強いられるため、観光地としては結構不便なところにあるのですが↓
それでもなお、氷見の前浜で獲れたぶりのしゃぶしゃぶ(ぶりしゃぶ)を目当てにレンタカーを借りて氷見まで足を延ばす観光客も最近は多いようですね。富山か金沢から足を延ばして車で氷見に行き、漁港近くの民宿に泊まって夕食にゆっくりとお部屋でぶりしゃぶ、ブリの刺身を食べるなんて考えただけで幸せ!
そこまでの時間と予算は割けなくとも、氷見の番屋街に行けば足湯なども無料で楽しめますし、旬の海産物をはじめとする名産品(氷見には寒ぶり以外にも氷見うどん、氷見牛などの名物があります)に舌鼓を打つこともできます。また、氷見は藤子不二雄Aさんの出身地でもあるらしく、忍者ハットリくんのモニュメントや藤子不二雄ワールドに浸れるギャラリー(氷見市潮風ギャラリー)などもあり、日帰りでも十分に楽しめる観光地です。
■氷見のぶりはなぜ評価が高いのか?
さて、その最高に美味しい氷見の寒ぶりですが、なぜそんなに評価が高いのか?何が他の産地とそんなに違うのか?というところは気になりますよね。そこで今回は氷見寒ぶりの秘密と実はそのご近所で獲れる寒ブリのお値打ちブランド?についてご紹介しますね。
さて、氷見のぶりはなぜあんなに脂があって美味しいのか、ということですが、まずは漁場の良さが挙げられます。ぶりは一般的に九州北部で孵化して成長しながら北海道まで北上し、冬場にかけて再び南下するのだそうですが、水温が急激に下がって波もきつくなる大寒の時期あたりに新潟県佐渡島から富山湾近郊に戻ってくるのだそうです。富山湾は立山連峰をはじめとする豊かな自然に囲まれ「天然のいけす」と呼ばれることもあるようにプランクトンも豊富で魚にとっては最高のエサ場です。日本海の厳しい荒波と低い海水温でしっかりと身がしまり脂質を蓄えたぶりが、波が比較的穏やかで栄養も豊富な富山湾内に入ってくるとより一層食欲も増し、極上の脂ノリと身質になっていくそうです。
そして氷見ぶりの評価が高いもう一つの理由は、その水揚げ地である氷見漁港の漁場(定置網)までの近さ!
氷見漁港の目の前に定置網があります。ちょっと判りにくいかもしれませんが、この岸壁(氷見漁港に隣接しています)の目と鼻の先程の距離に定置網(黄色い浮きが判りますか?)があります。そこに入り込んだ寒ブリを水揚げするから当然鮮度もバツグンなで評価が高い訳です。
という訳で氷見の寒ぶりは全国的にも最高級の評価を得ており、その氷見ぶりの証として証明書と一緒に専用の青いブリ箱(スチロール箱/通称・氷見箱)に入れられて全国各地の消費地へと送られていきます。最近ではこの青い氷見箱自体にも価値が認められてきたので、運送途中で箱に傷が入ったり割れたりするとクレームになることも多く、運送屋さんも結構ピリピリしながら運んでいます。
■ 氷見寒ぶりのライバル登場?
そんな感じで完全に全国的なブランド認知を獲得した氷見の寒ぶりですが、そんな氷見寒ぶりに対抗心をメラメラと燃やしているブランド寒ぶりがあります。
それが「能登天然寒ぶり」。
箱も似たような青いブリ箱に入っており、金沢市卸売市場には氷見産の天然ぶりよりもたくさん入って来ることも多いです。
やはりブランド力の差があり、一般的には氷見寒ぶりの方が相場も高いのですが、魚を見ると天然能登寒ぶりも非常に肥えていて氷見産に負けずとも劣らない程美味しそうなものが多いです。
じゃあ、ブランドさえ気にしなければ天然能登寒ぶりの方がお得なの?
という疑問が沸いてきますが、調べてみたところ天然能登寒ぶりをプロデュースされているJFいしかわさんのホームページにこんな風に書いてありました。
「ちなみに、「天然能登寒ぶり」もお隣の「氷見寒ぶり」も漁獲される水域は同じです。」
「漁獲される水域は同じ」という説明の前にまずは全国の皆様に判りやすいように能登半島の地図でご説明しますと、氷見市は富山県と言っても能登半島に位置していますし、石川県との県境にあります。ちょっと北上すればもう石川県(七尾市)です。つまり氷見の近所で獲れているから「水域は同じ」っていう主張?
確かに七尾市沿岸にある小さな漁港では網を揚げてそのまま石川県側の漁港に水揚げせず船で移動して氷見漁港に揚げる(=氷見産になるし値段も高くなる)って聞いたことあるしなぁ~
と疑問が湧いたので、まずは両ブランドの定義を氷見漁協さんとJFいしかわさんとにお聞きしてみました。
■ 氷見寒ぶり、天然能登寒ブリと呼ぶための基準は?
氷見寒ブリは
- 11月中旬から2月上旬くらい(これは鑑定人がいてその年の魚体をみて判断する)に
- 氷見漁協が定めた品質管理基準をクリアした船(一部石川県の漁師も含む)が水揚げした
- 魚体サイズ6㎏以上のもの
ということになっているんだそうです。
対して天然能登寒ブリは
- 11月から2月にかけて
- 石川県能登半島沿岸の定置網で獲れた(もしくは1本釣りした)
- 魚体サイズ7㎏以上のもの
ということらしいです。※ホームページより
魚体サイズの基準に若干の違いはありますが、やはり皆さんがイメージする北陸のブリって10キロ程度の大きなものを想像されるでしょうから、ほとんど違いはないのかな、と思いました
■ 氷見寒ブリと天然能登寒ブリの漁獲水域の違い
JFいしかわの天然能登寒ブリの水揚げ地はもっと細かく見るとどこなのかな、と思い、漁業関係者や市場関係者の方にお聞きしながら調べてみたところ、赤いラインで示したところに定置網があるようです。この地図だけで見ると、七尾周辺は良いとして、能登半島の先端に近い珠洲あたりは氷見とはちょっと離れて過ぎているような気がするのですが…。
この点については水域が同じとおっしゃっているJFいしかわさんにお聞きするのが一番かと思い、お聞きしたところ、要はこういうことでした。
ブリは九州沿岸で孵化し、夏から秋にかけて北海道沿岸まで成長しながら北上します。そしてその後南下を始めて、新潟県の佐渡島を越えたあたりから脂のノリが良くなっていき、その後、能登半島の先端(蛸島漁港のあたり)から富山湾内に進入し、能登半島の沿岸部を回遊して氷見にたどり着くというルートを泳ぐそうです。※下の地図赤い矢印をご参照ください。
だから、氷見に入る直前の脂の乗った時期の寒ブリなので「同じ水域」ということになるんだそうです。
ちなみに能登半島って富山湾に面したところだけではなく、輪島漁港のように日本海に面したところもあるんですけど・・・とお聞きしたところ、能登半島の日本海側(外浦と言うそうです)では波が強すぎて網が破れてしまうため定置網は既に陸揚げしてしまっているとのことでした。
もちろん、氷見漁協さんにはまた言い分もあるでしょうが、究極にはお互い相容れないことが予想され、そこをこれ以上掘り下げてもあまり意味がなさそうなので、この辺で。
ここまでの話だけを考慮すると能登天然寒ブリの方がちょっと安い分お得なのかな、という気は致しますが、やっぱりブランドでは氷見の方が現在は一枚上だと思いますので、皆さんのニーズに応じて使い分けて頂くのが一番良さそうですね!
さて、そんな美味しい北陸産のブランド天然寒ぶり。おさかな料理の柴田屋ではこんな商品も販売しています。
【氷見産天然寒ぶりプレミアム西京漬】
こちらは数量限定のプレミアム商品。10キロ以上の大きな天然寒ブリは金額的にも(1本で5~7万円くらい)なので飲食店でも思わず仕入を躊躇してしまう高額食材。その天然寒ブリをプロの料理人さんと同じ手間ひまをかけた手法で西京漬けにして1枚ずつ真空パックしてあります。脂ノリやボリューム感など、さすが一級品だと感動を覚える味わいですので、在庫が終わってしまわないうちに是非どうぞ!
【氷見産天然ぶりしゃぶセット】
天然寒ぶりのハイブランド・ひみ寒ぶりを贅沢に使用したしゃぶしゃぶセットです。10キロ以上の大きな魚体に限定した製造なので常に品薄状態ですが、もしページをのぞいてみて販売中なら即注文すべし!な一品です。通常は高級料理店や現地まで旅行に行かないと食べられない貴重な寒ブリをご自宅で食べられるなんて最高の幸せです。
ちなみに柴田屋と同じ会社が運営している飲食店卸の「居酒屋応援隊」や鮮魚発送専門店「産直鮮魚きときと丸」では天然ぶりも1本(尾)から発送可能です。氷見産はもちろん、能登半島産、そして富山湾内に入る直前の佐渡島産など、ご予算と貴店のニーズに合わせてご準備できますので、業務用にお探しの皆様は是非お問い合わせくださいね!
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